野生のイルカはどんな暮らしをしているか

野生のイルカはどんな暮らしをしているか海の生き物

今日では、多くの水族館で飼育され、誰もが一度は見たことのある「イルカ」。でも、水族館の外、海で野生のイルカを見たことある人はどれほどいるでしょうか?

水族館でもイルカの暮らしを垣間見ることが出来ますが、野生のイルカはより複雑な社会の仕組みをもち、時に争い、時に協力し合いながら暮らしています。

この記事では、水族館で最も多く飼育されているバンドウイルカの野生での暮らしについて解説していきたいと思います。

もら
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海洋生物の飼育・解説業務を6年経験している「もら」がご紹介します。
東京海洋大学卒業。海洋生物と動物専門です。
趣味は水族館・動物園巡りです♪

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野生のイルカの社会

イルカは群れをつくって暮らしている
イルカは群れをつくって暮らしている

イルカというと高度なコミュニケーションをとっており、群れで協力して暮らしていることが他の動物と比べて特徴的です。

群れといっても、私たちのように父・母・子からなる家族ではなく、母・子を中心とした大人メスの群れ、若いメス・オスの群れ、大人オスの群れに分かれます。

イルカの大人メスの群れの特徴

まず、大人メスの群れでは、成熟した大人メスと母子で構成されており、10頭前後の仲間と広く浅く、長期的に安定して付き合います。

また、他の大人メスの群れとも交流したりと、かなり寛容な性質を持っているようですね。言うなれば、安定感抜群の肝っ玉母さん&姉さんグループといったところでしょうか。

母親以外に、子どもを持っていないメスが育児に協力することもあるんですよ。

イルカの若いオス・メスの群れの特徴

次に、若いオス・メスの群れは、母離れした若いイルカのみで構成されています。多くは同性同士で3~5匹ほどの小規模な群れをつくります。

波乗りして遊ぶイルカ
波乗りして遊ぶイルカ

この群れの特徴は、好奇心旺盛で遊びを含む社会行動が活発だという点です。浅瀬で波乗りをしたり、時には人にも臆さずに近づいていき遊びに誘うような行動もとるんです。

また、若いオス同士に関しては、疑似交接行動といって、オス同士で交尾の真似のような行動をとります。この行動、実は水族館でもオス同士仲の良い個体によく見られる行動何ですよ。

メスは5~8才、オスは10~15才となり繁殖に参加できるようになると、それぞれ大人グループへ加入します。

イルカの大人オスの群れの特徴

最後に、大人オスのグループは、2~3匹の非常に結びつきの強い群れを作ります。この群れは他のオスの群れとはほとんど関わらず、ほとんどの時間を群れの仲間と過ごします。

大人メスの群れとは全く対極な社会性ですが、私たち人間の男性・女性の交友関係と似たものを感じますよね。

この大人オスたちは、他の群れの繁殖可能なメスを協力して群れから引き離し、しばらく追いかけ回したのちに交尾行動を行います。

協力して追い出した1匹のメスを巡って、あとでケンカにならないのか気になりますね。

野生のイルカのご飯(エサ)事情

イルカは生息場所の魚などの生物をエサにしています
イルカは生息場所の魚などの生物をエサにしています

バンドウイルカは、魚にイカ類、甲殻類など非常に様々な生物をエサとします。そのため、生息場所にたくさん存在する生物を主な主食としているようです。

イルカはエサを捕るために集団で狩りをする

また、効率よく生き物を捕らえて食すために、集団で協力して狩りを行うことも知られています。ここでは、群れで魚を捕らえる方法を2つほど紹介しますね。

  • 挟み撃ち

一群のイルカが平行に泳ぎ、別に平行に並んでいるイルカの方に獲物を追い立てる方法。

  • 囲い込み

獲物の周りを大きな円を描くように囲い込み、獲物が固まったところで四方から一気に襲う方法。

このように、群れの仲間同士で音によるコミュニケーションをとりながら、見事に魚を捕らえていきます。

また、狩りの時には、水族館のショーで見るような大きなジャンプも見られます。この行動は、他のイルカの群れに協力を仰いだり、獲物を驚かしてさらに密集させるために行います。
ショーで見られる行動も、元は自然界で普通にみられる行動なんですね。

エサの魚の種類に応じた狩りの技術もある

さらに、魚の種類に応じた狩りの技術もあります。
例えば、水面にジャンプするトビウオやボラを、同じく高速で低くジャンプしたイルカが空中キャッチしたり、ジャンプするトビウオを仰向けで追いかけ、着水したと同時に口で捕まえる離れ業を行う様子も観察されました。

チームプレーも個人プレーも出来るイルカは、まさに優秀な海のハンターと言えるでしょうね。

まとめ

・野生のイルカは、母・子を中心とした「大人メスの群れ」、「若いメス・オスの群れ」、「大人オスの群れ」に分かれる。

・効率よく生き物を捕らえて食すために、集団で協力して狩りを行う

野生のイルカの社会は、違う所はあれど、コミュニティーを作ってコミュニケーションを取り合い、時に協力し合いながら関わっていくところは、私たちの社会と似ていて面白いですよね。

日本でも、御蔵島や小笠原など、野生のイルカに出会える場所はたくさんあるので、たまには水族館ではなく、自然の海へイルカを見に行ってみてはいかがでしょうか。

☆イルカというと水族館のイルカショーも人気ですね。イルカのジャンプは大迫力ですからね!
でも、イルカにどうやってあのジャンプとかの芸を教えているかご存知ですか?
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
イルカのパフォーマンスはどうやって覚えさせる?イルカの調教について解説!

☆イルカとクジラって同じ仲間だってご存知ですか?では、イルカとクジラの違いは?
その疑問はこちらの記事で詳しく解説しています。
イルカとクジラの違いとは?意外と曖昧なイルカとクジラの名付け方

(参考)
「イルカ・クジラ学 イルカとクジラの謎に挑む」編著:村山司、中原史生、森恭一
「御蔵島のイルカ」著者:ジャック T モイヤー

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